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犯人探しの似顔絵は誰が描いている?

似顔絵は結婚式などのために用いられるだけではありません。似顔絵は様々な分野で利用され、単にアートの世界に留らず様々な目的でその技術が利用されています。
その代表的な例が警察で犯人を特定するために活用するというものです。

凶悪犯の指名手配が発生したときに、手元にすぐ犯人の画像を用意できない場合は、犯人の似顔絵が公開されるケースがあると思います。この似顔絵は一体誰が描いているのでしょうか?

中にはそれ専門の職員がいると思っている方もいるようですが、実は犯人の絵は、警察官が描いているんです。何度かテレビでも取り上げられたことがあります。警察署にはたくさんの職員がいるので、その中で比較的絵心のある職員が指名されて、証言を元に描くのだそうです。PTAのバレーボール大会でも、クラスで必ずバレーボール経験者がいて、主審や副審をやってくれるように、適材適所というのはどんな場面でもあるものなのですね。

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指名手配犯の顔は普通の警察官が描きますが、裁判などが行われたときにその様子がイラストでニュースで流れる、あの絵は「法廷画家」という専門家が描いています。よく、あの絵の犯人は全然似ていないといわれますが、法廷画家の仕事は、その場の様子をそっくりに描くことが重要なのではなく、裁判の様子をより素早く、より伝えられるように描くことがメインの仕事なので、顔が似ている似ていない、ということはその次の話になります。

そもそも傍聴席から描くのですから、犯人の顔を間近で見れないので似せて描くこと自体が不可能というもの。それにあまり似せてしまうと、裁判員裁判のときなどはいろいろと不都合もありますので、あのくらいの技術がちょうどよいのかもしれません。

警察で用いられる似顔絵技術

似顔絵捜査官 イラスト
多くの警察官が似顔絵の技術を磨き、実際の現場で役立てています。定期的に大会を開いてその技術を切磋琢磨し、レベルの高さはプロのアーティストに匹敵するものがあります。
また、犯罪捜査の場面でも取り入れられていて、その技術は計り知れないものがあります。

警察で用いられている技術は、正確に顔を描写することであり、一般のイラストレーターが描く絵のように、特徴をとらえ個性をデフォルメするというものとは一線を画します。写実性がなにより大切なのです。しかし、単に正確なだけでは犯人特定には不十分です。人の顔は作る表情によっても変わりますし、ヒゲをはやしたり髪を伸ばしたりすると全体的な雰囲気が変わってしまいます。そのため、そうした変化を付けたとしても、見分けられるように、特徴となるポイントを上手について、人の記憶に残るようにしているのです。

また、CGを始めとする様々な技術を組み合わせて、変装した場合の変化の度合いなどを見極めて予想図を描くことまでします。そのため、公開された似顔絵を見て一般人が犯人を見た、との通報により逮捕につながることも多いのです。単に特徴をとらえるだけでなく、人の印象に残るようなポイントを上手につかみ、絵を作成するには大変な技術と研鑽が必要です。日頃の訓練と積み重ねられたノウハウが生きていると言える、警察の似顔絵利用術です。

似顔絵捜査官の特殊技術

想像して絵を描く

 

似顔絵捜査官の絵の上手さは言うまでもありませんが、とりわけ素晴らしいのは、モデルなしで本人そっくりに描いていく技術です。

ほとんどのイラストレーターは、写真かモデルを前にして絵を描きます。想像だけで作品を完成させることはほぼありません。しかし、警察の似顔絵捜査官といわれる人は、当然犯人を目の前にして絵を描くわけではないので、目撃証人の話を基に絵を描いていきます。それが、良く知っている人なら記憶も定かでしょうが、たいていは犯罪現場に居合わせてちらっと見ただけということが多いので、記憶を定かではありません。大体、人の顔を正確に絵に起こせるほどの記憶を持っている人というのは少ないものです。

そこで、捜査官の卓越した技術の1つである、ヒアリングにより記憶を掘り起こしていくという作業が行われていきます。目につく特徴的なパーツ、傷やほくろがある、面長であるといった分かりやすいところから、少しずつスケッチを起こしていき、修正と聞き取りを辛抱強く繰り返しながら犯人の顔に近付けていくのです。この巧みな質問と想像力が、たとえ全く見たことのない顔であっても、実に正確に復元して犯人の姿を暴いていくのです。そのための訓練はとても高度で、全国の警察でたくさんの捜査官が腕を日夜磨いています。

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